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■ドアヒンジ事件(東京地裁 S58.5.25 昭和55年(ワ)1971号)
 不完全利用の侵害は認められないと判示した事例
●事件の概要
 ドアヒンジ(ドアの蝶番)の発明に関する事件。ドアヒンジ(ドアの蝶番)として働く構成のほかに、故障した際にカム(ドアの回転をコントロールするために柱側の基部のソケットに嵌合される部品)をたたき出すために基部の底に小孔を設ける構成が特許請求の範囲に記載されている特許発明を有する原告が、小孔を有していない被告製品を、小孔は重要な事項ではないので特許権侵害であるとして、その製造、販売等のの差止めを求めた事件。
●裁判所の判断
 発明の構成に欠くことができない事項として、ある事項を特許請求の範囲に記載しておきながら、権利を行使する段階に至って、その事項は発明の構成要件のうち比較的重要な事項ではないと主張し、その発明の特許請求の範囲の一部を無視し、その拡張的変更を許容したのと同じ結果を生じるような主張をなすことは許されない。