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© 2005 Atsushi Kojima


■BBS事件(最高裁 H9.7.1 平成7年(オ)1988号事件)
 特許権者自身が国外で譲渡した特許製品について、日本での販売、使用を禁止する旨を特許製品に明確に表示した場合を除き、日本の特許権を行使しえないと判示し、並行輸入を許容した事例
●事件の概要  ドイツの自動車ホイールメーカーダルBBS社がドイツと日本でホイールに関する同一発明について特許権を有しており、ドイツ国内で製造販売された製品の輸入業者と国内での販売業者に対して、BBS社が日本の特許権に基づいて差止め及び損害賠償を請求した事件。
 一審で敗訴した並行輸入業者が控訴したところ、控訴審判決では控訴を容認し、一審判決を取り消し、特許権者の請求を棄却したので、特許権者が上告した。
●裁判所の判断
 我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において特許製品を譲渡した場合においては、特許権者は、譲受人に対しては、当該製品について販売先ないし使用地域から我が国を除外する旨を譲受人との間で合意した場合を除き譲受人から特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者に対しては、譲受人との間で右の旨を合意した上特許製品にこれを明確に表示した場合を除いて、当該製品について我が国において特許権を行使することは許されないものと解するのが相当である。
 本件各製品は、いずれも特許権を有する上告人自身がドイツ連邦共和国において販売したものである。そして、本件において、上告人が本件各製品の販売に際して、販売先ないし使用地域からわが国を除外する旨を譲受人との間で合意したことについても、そのことを本件各製品に明示したことについても、上告人による主張立証がなされていないのであるから、上告人が、本件各製品について本件特許権に基づいて差止めないし損害賠償を求めることはで許されないというべきである。