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どうやったら強い実用新案が取れるの?

 考案を的確に把握するとともに、充分に実施の形態を開示する必要があります。

(1)発明を的確に把握する。

 最初に行わなければならないとても大切な作業です。
 考案の把握を誤ってしまって、ボタンの掛け違いをしてしまうと、その後の調査・出願の労力と費用がすべて無駄になってしまいますし、他社の権利侵害の火種をつくることになります。
 考案を的確に把握できなければ、有効な実施形態を開示することもできません。

 では、具体的にどのようにすれば、良いのでしょうか。

 まずは、あなたの考案を客観的に把握してみましょう。

  ・これまでは、どのようにやっていましたか(従来技術)。
  ・従来のやり方には、どんな不具合(課題)がありましたか。
  ・あなたはその不具合(課題)を、どのような物品の形状、構造又は組合せにすることによりどのように解決しましたか(手段)。
  ・その結果、どのような効果が得られましたか(効果)。

 そして、上記のうちの手段・構成が、権利化をしたい部分になります。

 ここで、理解の容易のため、簡単な文房具の発明について、「転がり防止の鉛筆」を例に取りますと、以下のようになります。


 ・従来、鉛筆は、円柱状の形状であった(従来技術)。
 ・円柱状の形状だと、斜めになっている場所に置くと、転げ落ちてしまい、芯が折れやすいという問題点があった(課題)。
 ・そこで、鉛筆の断面形状を三角形、六角形のように多角体形状とした(手段・構成)。
 ・その結果、転がりにくく、転げ落ちて芯が折れることもないという効果が得られる(効果)。

 そして、「鉛筆の断面形状を三角形、六角形のように多角体形状とした」手段・構成が、権利化をしたい部分になるわけです。


 日用品の考案についても同様です。

 例えば、実用新案登録第2508137号に記載されている家庭用洗剤などの容器に添付される計量スプーン(下図参照)を例に採ってみます。

(組立後の斜視図)



(組立前の展開図)



(折りたたんだ状態の斜視図)


 ・従来、家庭用洗剤等の容器には、合成樹脂製の計量スプーンが添付されていた。この計量スプーンは容器一個につき必ず一個が添付されているので、新たな洗剤を買い求めたときには古いスプーンはこれを廃棄することが多かった(従来技術)。
 ・しかしながら、従来の計量スプーンは合成樹脂製であるため焼却処分することが出来ず、廃棄物としての処理段階において問題があった。また材質が合成樹脂であるため、紙等に比較してコストが高くつくという難点があった(課題)。
 ・そこで、1枚の紙から形成される計量スプーン(上記展開図参照)を折り畳んだ状態(上記斜視図参照)で洗剤容器に添付あるいは封入し、ユーザに組み立てさせて使用させることを考えた(手段・構成)。
                      その結果、洗剤メーカーからの出荷時には折畳んだ状態で容器に添付、封入することが出来て嵩高とならず、紙製であるから従来の合成樹脂製に比して材料費が安く、コストダウンを計ることが出来るばかりでなく、使用後不用品として廃棄しても焼却が可能であり、環境汚染の問題を生じることがないという効果が得られる(効果)
                                 そして、「台紙(1)に刻設した中央折線(2)の左右に所定形状の側片(3)を対称に形成」する手段、「側片(3)の一方の一端縁には折線(4)を介して接着片(6)を連設」する手段、「他の側片(3)の一方縁には区画片(8)を連設し、かつ区画片(8)の先端側には側壁に設けた切欠き(12)に係合する固定用舌片(13)を形成」する手段を備え、これらを組み合わせた構成が、権利化をしたい部分になるわけです。


このように従来例、課題、課題を解決するための手段、効果を明確に把握することにより、何が権利化したいのかを容易に把握できます。


 (2)充分な実施形態を開示する。

 上記のように的確に把握された考案を強い実用新案にするためにはどのようにすればよいでしょうか。

 強い実用新案というのは、基本的には次の3つの要件を備えている実用新案だといえます。
 すなわち、
   1)侵害追求が容易である、
   2)登録性が高く、無効になりにくい、
   3)3)解釈上の疑義が生じにくく、隙がない、
という要件です。
 これらをバランス良く備えた実用新案が強い実用新案となります。
 それでは、それぞれの要件について検討してみましょう。

 1)侵害追求が容易である。
 侵害追求が容易であるためには、さまざまな態様(手段・構成)を包含する請求項が記載されている必要があります。
 すなわち、製品(実施品)態様の請求項だけでは、侵害の要件の立証が容易でなく、侵害追求が困難となることもあり得ます。
 例えば、上述の計量スプーンを例にとると、実際の製品と同一の形状を有するものだけを開示し、実用新案登録請求の範囲を記載する請求項に記載していたのでは、ちょっとしたアレンジがなされた計量スプーンを製造等している者について、侵害を追求できません。
 したがって、これらの者にも侵害が追求できるように、基本的な構成(1枚の紙を折り込んで組み立て、固定用舌片で固定した構造)を同一とする様々な態様に対応する請求項を記載するのが好ましいこととなります。
 この場合、さらに「他人がこの実施形態から逃れようとしたら、どのような実施形態で実施してくることが考えられるか?」について十分に検討して、他人が実施するであろう実施形態(変形例)を考えて記載しておくのが理想的です。

 また、より広い権利範囲、すなわち、技術的範囲が広く解釈できる請求項(より上位概念の請求項)が記載されていれば、侵害の様々な態様に対して、侵害をより確実に追求することが可能となります。
 より具体的には、本願の実用新案登録請求の範囲には、「台紙に刻設した中央折線の左右に所定形状の側片を対称に形成し」とありますが、この権利範囲を逃れるためには、他人は例えば「非対称に側片を形成した」計量スプーンを実施することが考えられ、このような実施形態には権利が及ばないことになります。
 また、本願の実用新案登録請求の範囲には、「側片の一方の一端縁には折線を介して接着片を連設する」とありますが、この権利範囲を逃れるためには、他人は例えば「側片の両端に接着片を設ける」ことが考えられ、このような実施形態には権利が及ばないことになります。
 さらにまた、本願の実用新案登録請求の範囲には、「区画片の先端側に」固定用舌片を設け、「側壁に」切欠を設けて係合するとありますが、「側壁に固定用舌片を形成し、区画片の先端側に切欠きを設ける」ことが考えられ、このような実施形態には権利が及ばないことになります。
 したがって、上述した変形例も実施形態に含むように記載するとともに、これらの実施形態を含む上位概念の請求項あるいはこれらの実施形態に対応する複数の並列概念の請求項を記載しておくことが好ましいです。


 2)登録性が高く、無効になりにくい。
 登録性が高く、無効になりにくくするためには、従来技術との技術思想上の相違を可能な限り主張できるように分析し、明細書に記載しておく必要があります。  すなわち、従来技術の構成と出願考案の構成との差異を明確にすることはもちろん、従来技術の構成と出願考案の構成との差異よってもたらされる作用・効果の差異を明確にしておく必要があります。  この結果、進歩性の根拠を主張しやすくなり、無効原因をより回避することができます。

 3)解釈上の疑義が生じにくく、隙がない。
 さらに解釈上の疑義が生じにくく、隙がないということは、用語が明確(社内用語等は用いず、JISで用いられている用語を用いる)であるとともに、技術的範囲が明細書に開示された実施形態に基づいて解釈されたとしても必要以上に限定解釈されないように充分な実施形態を開示しておくことが望まれます。

 そして、上記の要件を満たすためには、より多くの実施形態をご呈示いただくことが必要となります。これにより、より上位概念を抽出し、必要以上に限定解釈されないように充分な実施形態を開示した強い権利を生み出すことが可能な明細書を作成することができるのです。
  

実用新案登録の出願に際して
 ところで、実用新案登録の保護対象は、物品の外観、構造あるいは組み合わせであり、基本的には、目に見える構成およびその背後にあるアイデアを権利化することにあります。
 従いまして、具体的な装置構成、構造などを可視化しつつ、かつ、可視化された範囲内に権利が限定されないように様々な視点から表現していくことが大事になります。
 
 このために必要な資料としては、以下のようなものが挙げられます。   (A)物品の形状、構造、組み合わせを説明するための資料
  (B)物品の動作、使用状態を説明するための資料

 以下、より詳細に説明します。

(A)物品の形状、構造、組み合わせを説明するための資料

 物品の形状、構造、組み合わせを説明するための資料は、どのように発明を具現化したのかを明確にするために、具体的な物品について説明します。
 例えば、
 (1)物品の形状、構造、組み合わせを説明するためには、日用品の外観図および考案に関連する部分の拡大図(例えば、日用品の把持部分の構造に特徴があるのであれば、当該把持部分の拡大図)が必要です。
具体例:

(平面図)


(出典 実用新案登録第2562953号公報)



(外観図)


(出典 実用新案登録第2528285号公報)



(三面図)


(出典 実用新案登録第2591181号公報)



(要部の拡大図)


(出典 実用新案登録第2528285号公報)




(B)物品の動作状態、使用状態を説明するための資料
 物品の動作状態あるいは使用状態を説明するためには、動作説明図や使用態様説明図などが必要となります。
(使用方法説明図)


(出典 実用新案登録第2591181号公報)



(設置状態説明図)


(出典 実用新案登録第2559604号公報)



(取付状態説明図)


(出典 実用新案登録第2532837号公報)




実際にご相談いただく際に

 上述したような資料を当初からそろえるのはなかなか難しいことと思います。弊所に実際にご相談いただく際には、こんな日用品を考えたんだけど……、というようなご説明でも結構です。可能な限りの資料を持ってきていただき、お打ち合わせの中で、必要な資料をそろえていきましょう!
 また、小さな日用品であれば、現物をお持ちいただければ、より強い特許を取得するためのご提案をさせていただくことができます。



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